抄録
先天性鼻腔狭窄症と診断され無治療で経過観察中だった乳児が, 上気道炎を機に鼻閉による換気, 哺乳障害に陥った。治療として, 鼻咽頭管の留置を施行したところ, 次第に換気障害の改善や体重増加を認めた。留置して3カ月後に, ファイバースコープ検査や頭部CT検査で, 鼻骨や上顎の発育に伴う狭窄の改善を確認し鼻咽頭管の抜去ができた症例を経験した。先天性鼻腔狭窄症で上気道炎などにより鼻閉が増強し, 呼吸, 哺乳障害が出現した場合, 鼻咽頭管留置を直ちに施行することは有用な保存的治療法であると考えられた。