抄録
れわれは呼吸不全に進行する以前に, 突然心肺停止をきたしたDuchenne型筋ジストロフイー (DMD) の13歳男児例を経験した。核医学検査で認められた骨盤腔内の深部静脈血栓が遊離して肺血栓塞栓症をきたしたことが原因と推測された。
DMDの突然死に肺梗塞との関連を指摘する報告があり, DMD患者に共通する凝固線溶系異常との関連が注目されている。自験例でもトロンビン・アンチトロンビン複合体高値などの凝固線溶系の異常が認められた。これまでDMD患者に発症した肺梗塞の報告例で, 深部静脈血栓の関与が確認された例はなく貴重な症例と思われた。