日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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吸入ステロイドが奏功した特発性肺ヘモジデローシスの一例
岡本 尚子
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2006 年 17 巻 1 号 p. 31-36

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抄録
特発性肺ヘモジデローシス (IPH) の治療はステロイドの全身投与が一般的だが, 減量困難な例も多く, 副作用が問題となる。我々は吸入ステロイド療法によりステロイド内服を中止し得たIPH症例を経験した.症例は3歳男児。小球性低色素性貧血で発症, 4歳時に血痰喀出, 胃液ヘモジデリン貧食細胞陽性でIPHと診断した。プレドニゾロン (PSL) 内服し寛解導入, 漸減したが中止すると直ちに再燃した。5歳時より吸入ステロイドを併用したところ再燃までの間隔が長くなり, 6歳時にPSL内服を中止し8歳の現在まで吸入ステロイドのみで経過順調である。IPHに対する吸入ステロイド療法は確立されてはいないが, 本例も含めてステロイド全身投与の中止・減量に寄与した報告が散見され, ステロイド減量困難なIPHで寛解維持療法の一手として考慮すべきである。また本症例では肺傷害の指標としてKL-6を測定し, 病勢をよく反映していると思われた。
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