抄録
少量マクロライド療法は副鼻腔炎や汎細気管支炎のような慢性気道炎症に対して行われる。14員環マクロライド抗菌薬を治療量で投与するとテオフィリンの肝代謝が有意に阻害されるが, 我々は少量マクロライド療法もテオフィリン代謝に臨床的に影響のある変化を及ぼすのかどうかを検討した。テオフィリンと少量マクロライド抗菌薬 (12.3±4.5mg/kg/日) を併用した非発作時の気管支喘息患児9名とテオフィリン単独投与の患児10名を対象として, 定常状態でのテオフィリン濃度とテオフィリンおよびその代謝産物尿中濃度を測定した。血中および尿中濃度はそれぞれ免疫測定法, 高速液体クロマトグラフ法で測定した。両群間でテオフィリン血中濃度, テオフィリンの代謝クリアランス, 腎クリアランスに有意差はなかった。よって, 小児の呼吸器疾患に対する少量マクロライド療法を行う際, 併用するテオフィリン投与量の減量は必要ないと判断された。