日本小児呼吸器疾患学会薬事委員会, ならびに将来構想委員会での検討を通じ, 本学会として, 特発性間質性肺炎治療薬として有用性が報告され個人使用されているマラリア治療薬であるヒドロキシクロロキン, 嚥下機能検査や気管支造影検査に用いられている非イオン性水溶性ヨード造影剤について継続的に取り組むとともに小児呼吸器感染症診療ガイドラインで推奨されているにもかかわらず適応外使用となっている抗菌薬について検討することとなった。ヒドロキシクロロキンについては臨床効果, 副作用などについて昨年に引き続き二次アンケート調査を実施, 他の治療薬と比較検討を行った。19例の小児特発性間質性肺炎症例に対し全身性ステロイド薬投与が行われ, 効果が不十分であった13例のうち8例に追加投与されていた。また免疫抑制剤をまず試みたが無効であった2例にもクロロキンの追加投与が行われていた。結局10例の使用例のうち4例は単独で有効と判定され, 2例はステロイドとアザチオプリンとの併用で有効であった。副作用は認められず免疫抑制剤に比し安全性も確認された。今後前向き検討も含め適応取得に向けた取り組みを積極的に継続する予定である。小児呼吸器感染症診療ガイドラインの中でアンピシリンナトリウム, アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウムの静注が推奨されているが, 小児においては筋注の適応しかないため, 使用実態に即した添付文書の内容変更に向け調査を開始した。また, 酒石酸キタサマイシン注射薬の供給停止に対応するためジスロマック注射薬の開発の可能性を検討したが, 現状では困難との結論に達した。
抄録全体を表示