一側肺野の透亮性異常を認めた小児例の肺シンチグラムについて

抄録

胸部単純レントゲン写真上, 一側肺野の透亮性異常を認めた3小児例を経験した。原因疾患はそれぞれ左主気管支内肉芽腫, 右肺動脈欠損, さらに気道や肺血管に明らかな器質的病変を有さないSwyer-James-Macleod症候群と多彩であった。このうち先の2例には¹³³Xeを用いた肺換気・血流シンチグラフィーを施行し, それぞれ原因に応じた特徴的所見を得た。すなわち気管支狭窄例では病側肺の換気・血流分布がともに減少し同側のwash outの低下も著しかったのに対し, 肺動脈欠損例では病側肺の血流分布の低下が著しかったが換気分布では軽度のvolume lossを認めるのみであった。Swyer-James-Macleod症候群の症例には, ^99mTc-MAAを用いた肺血流シンチグラフィーのみ行い病側肺での血流低下を認めた。
肺換気・血流シンチグラフィーは, 胸部レントゲン写真上一側肺野の透亮性異常を認める疾患群の鑑別診断, および侵襲的検査の必要性の判断について有用な情報を与えてくれる検査法である。