抄録
意味情報の半球間転送を研究するために,顔 (プライム) と名前 (ターゲット) ペアが左視野 (LVF) あるいは右視野 (RVF) に連続して呈示される意味マッチング課題遂行中の事象関連電位が記録された。12名の右手利き実験参加者はプライムがターゲットと同じ性であるかどうかを判断するよう要求された。明らかになった結果は2つである。lつはプライム-ターゲット間の緩徐な陰性電位はLVFプライムでは半球差は認められないが,RVFプライムでは右半球よりも左半球で大きかったことである。2つ目はN400プライミング効果が視野条件の組み合わせによって変化しなかったことである。これらの結果は顔情報の右半球から左半球への転送がその逆方向と比較して優位であったこと,この非対称性はN400によって観察された意味プライミング効果に影響しなかったことを示唆している。