論文ID: 1903si
48人の大学生の皮膚コンダクタンスと主観評価を,従来型の講義,授業内実験,およびディスカッションを含む授業中に測定した。講義中は,皮膚コンダクタンスの概要を解説し,授業内実験では射的ゲームを行い,ディスカッションは,精神生理学的測定の社会的応用について行った。参加者の皮膚コンダクタンスは,講義が進むにつれて徐々に低下したが,ディスカッション中に著しく高くなった。授業に関する学生の主観的評価は,講義を除き概ね肯定的であった。学生の生理的反応と主観評価は,授業内実験でのみ相関し,講義とディスカッションでは失われた。自己の覚醒水準の認識が難しいため,相関が講義中に減少したと考えられた。また,対人状況によって生じる不安により,ディスカッション中の相関が弱められた可能性があった。教育環境において,精神生理学的活動の多人数測定を適用することの可能性と問題について議論を行った。