日本補綴歯科学会雑誌
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原著論文
尿試験紙による唾液8成分の同時測定法の構築と残存歯の歯周病の評価
結城 健二塚崎 弘明川和 忠治芝 燁彦芝 紀代子
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キーワード: 唾液, 歯周病, 唾液検査, 支台歯
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2008 年 52 巻 3 号 p. 340-349

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抄録

目的 : 歯周組織の臨床所見と全唾液中に含まれるグルコース, タンパク質, アルブミン, ビリルビン, クレアチニン, pH, 潜血, ケトン体, 亜硝酸塩, 白血球との相関関係について比較検討した.
方法 : 医局員ならびに歯科治療に訪れた患者計57名を対象者とした. 唾液採取は1回目として, 蒸留水1.5mlを15秒間口腔内で含嗽させ, 紙コップに吐き出させる. 2回目として, 蒸留水1.5mlを15秒間含嗽させ, 紙コップに吐き出させる. 3回目として, パラフィンガムを60秒間咀嚼させ, 紙コップに吐き出させる. このように3回に分けて全唾液の採取を行った. 測定法は, 尿試験紙に貼り付けられた10項目の試薬片に, サンプルを8μl滴下し, 専用反射率計で計測した. 歯周組織状態の判定は, 歯槽骨の吸収・プロービング値・動揺度・根分岐部病変を診査し, 4ランクに分類した. 得られた歯周病ランク別の平均値, 各成分との相関をそれぞれ統計処理した.
結果 : ビリルビン, ケトン体は測定できなかった. 8項目の成分濃度の平均値は, 歯周病ランクが高くなるに伴って平均値も高値を示した. 歯周病ランクと各成分の相関をみたところ, タンパク質, アルブミン, クレアチニン, pH, 白血球で相関が得られた.
結論 : 試験紙による唾液8成分の同時測定法は, 支台歯および残存歯の歯周病診断に有用であることが示唆された.

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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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