日本補綴歯科学会雑誌
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原著論文
漂白歯のエナメル質とレジンセメントとの接着性
若見 昌信増田 美樹子加藤 仁美田部井 直子渡辺 官村守 樹理才川 隆弘會田 雅啓西山 典宏
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2008 年 52 巻 3 号 p. 331-339

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抄録

目的 : 漂白回数と漂白後のエナメル質に対する処理法および保管期間の違いがエナメル質とレジンセメントとの接着に与える影響について検討した.
方法 : 漂白回数の違いによるエナメル質とレジンセメントとの接着性への影響について検討するため, 牛歯エナメル質を0 (Cont), 1回, 3回, 5回漂白し, 1週間37℃水中保管した後, リン酸処理しレジンセメントを接着させ, 接着強さを測定した. また, 漂白後のエナメル質に対するエッチング材の違いおよび保管期間の違いによるエナメル質とレジンセメントとの接着性への影響を検討するため, 3回漂白後, 1週間37℃水中保管し, 10%クエン酸-3%塩化第二鉄処理 (10-3), 10%クエン酸処理 (10-0) し, また, 3回漂白後, 2カ月間37℃水中保管し, 接着強さを同様に測定した.
結果 : 接着強さの平均値はContのリン酸処理では18.9MPaであったが, 1回漂白で9.8MPa, 3回で3.9MPa, 5回で4.1MPaに低下した. 3回漂白では10-3で13.9MPa, 10-0で6.8MPaであった. 3回漂白で2カ月間水中保管では, リン酸処理で10.1MPaであり, 1週間保管の場合の3.9MPaに比べて増加した. 10-3で13.0MPaであった.
結論 : 漂白後のエナメル質にレジンセメントを接着させる場合, 10-3処理または2カ月程度経過後に行うことが望ましいと考えられた.

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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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