日本補綴歯科学会雑誌
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専門医症例報告
咀嚼および審美障害に対し咬合挙上を伴う補綴処置を行った前歯部欠損症例
鈴木 浩司
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2008 年 52 巻 3 号 p. 416-419

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抄録
症例の概要 : 患者は72歳女性. 前歯部ブリッジ脱離に伴う咀嚼障害ならびに審美障害を主訴に来院した. 下顎臼歯部の欠損放置に起因する下顎位の偏位, 臼歯部の咬合高径低下に伴う下顎前歯部の突上げが原因と考えられ, 咬合挙上副子を兼ねた治療義歯により咬合高径を回復し, 機能的, 審美的にも良好な回復を行った.
考察 : 臼歯部の安定した咬合支持を構築することが, なにより前歯部補綴の安定を生むものと考えられる.
結論 : 片側の下顎臼歯部が欠損であるが, 咬合挙上副子を兼ねた義歯を用いることにより両側挙上が可能となり, 上顎にデンチャースペースを作ることができた. その後, 咬合挙上副子部を補綴物に置き換えることにより臼歯部の安定した咬合関係を得ると同時に前歯部の機能的, 審美的回復を図ることができた.
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© 2008 社団法人日本補綴歯科学会
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