日本補綴歯科学会雑誌
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三次元有限要素法を用いたキャスタブルセラミックスクラウンの応力解析
平田 智秀石川 俊哉芝 樺彦尾関 雅彦塚崎 弘明立川 哲彦
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2002 年 46 巻 4 号 p. 501-510

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抄録

目的: キャスタブルセラミックスクラウンは審美性に優れているが, 強度に問題があることが指摘されている. そこで, 下顎第一大臼歯部における天然歯およびキャスタブルセラミックスクラウンとして知られるキャスミック®クラウンのモデルに生じる内部応力の差異について比較検討した.
方法: 天然歯モデルとキャスミック®クラウンモデルを作製し, 荷重点および荷重方向を変化させて, クラウン, 支台歯, 周囲組織に生ずる内部応力の差異を, 三次元有限要素法により比較検討を行った.
結果: 中心咬合位では相当応力, 引張応力および圧縮応力のすべてにおいて, キャスミック®クラウンモデルが天然歯モデルと比較して大きな値を示した. 偏心位では, 相当応力と圧縮応力は天然歯モデルの咬頭頂歯軸方向荷重において最も大きな値を示し, 引張応力はキャスミック®クラウンモデルが外斜面歯軸方向荷重において最も大きな値を示した. 引張応力分布は天然歯モデルでは荷重点下周囲表層, キャスミック®クラウンモデルでは荷重点下周囲表層とクラウン内側面に大きく認められた.
結論: キャスミック®クラウンモデルは外斜面歯軸方向荷重で最も大きな引張応力値を示し, その応力分布の様相は, 荷重点下周囲クラウン表層からクラウン内側面にかけて認められた. したがって, この荷重条件で破折が起こる可能性が最も高いことが示唆された.

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