日本補綴歯科学会雑誌
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局部床義歯使用状況に関するアンケート調査
片側大臼歯欠損遊離端症例について
澤田 萬喜子奥田 啓之内田 愼爾畦崎 泰男南 正高川野 晃西崎 宏兼平 治和前田 照太井上 宏
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2003 年 47 巻 1 号 p. 76-85

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抄録
目的: 片側大臼歯欠損に局部床義歯を装着した患者へのアンケート調査により, 義歯の使用状況, 義歯を使用しない理由, その満足度などについて調査し, 使用実態を明らかにするのが目的である.
方法: 片側第一, 第二大臼歯欠損に対し遊離端義歯を装着した251名, 258床を調査対象とした.これらに対しアンケート用紙を郵送し, 返信によって得られた回答を集計した.
結果: 158床 (61.2%) の回答が得られた.「毎日使っている」と回答した群は45.6%, 「ときどき使っている」と回答した群は12.0%, 「全く使っていない」と回答した群は23.4%, 「その後, 新しい入れ歯を作った」と回答した群は19.0%であった.分析対象の義歯が片側処理か, 両側処理か, またレジン床義歯か, 金属床義歯か, さらに対顎の義歯装着の有無などによる使用状況に有意な差は認められなかった.「毎日使っている」と回答した群の満足度は高く, これら群間に有意な差が認められた.「全く使っていない」と回答した群の平均年齢は, ほかの群と比較して有意に低く, 3ヵ月以内に装着を中止する症例が60.6%みられた.使用しない理由は多岐にわたっていたが, 「不快」が多かった.
結論: 片側大臼歯欠損義歯を用いた補綴治療の介入の是非論は言及できなかったが, 義歯を使用していない群は, 義歯を使用している群に比較して平均年齢は低く, 3ヵ月以内に使用を中止する傾向があった.
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