日本補綴歯科学会雑誌
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新しい顎運動分析装置: ARCUS®digmaの臨床応用に関する検討
顆路の再現性からみた評価
宮前 真田中 貴信星合 和基杉本 太造平井 秀明宮田 利清野村 紀代彦太田 功
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2003 年 47 巻 3 号 p. 545-553

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抄録

目的: 最近, 臨床現場での実用性を重視し開発された新しい顎運動分析装置ARCUS digma (Ka Vo) は, 従来の装置に比べ, コンパクトな設計であり操作もきわめて簡便である. また, 顎運動分析に全運動軸を採用しているところもユニークである. 本実験の目的は, この装置の臨床的有用性を確認することである.
方法: 被験者は, 顎口腔系の形態および機能に特に異常を認めず, 咬頭嵌合位が明確な正常歯列を有する10名を選んだ. 同一被験者について, 従来法に準じたワックスを用いたチェックバイトによる顆路調節法により得られた顆路角と, 本システムによって得られた顆路角とを比較・検討した. さらに, 本装置により顆路角を複数回測定することにより, その精度と再現性を確認した.
結果: 矢状顆路傾斜度, 側方顆路角のいずれに関しても, ワックスチェックバイトによるものと本顎運動分析装置によるものとの間に, 著明な差異は認められなかった. また, 臨床使用における装置の精度, 再現性においてもその測定誤差はきわめて少なかった.
結論: 顎運動分析の測定軸に全運動軸を採用したこの新しい装置の精度と再現性について, 顆路角測定の観点から検討したが, 臨床的にきわめて有用であると結論された.

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