抄録
目的: レーザー溶接は補綴学的要求から歯科分野において普及し始めている. 従来, 有床義歯の金属部分の修理は困難であったが, レーザー溶接の出現によって可能となった. 本研究は, レーザー溶接による同種および異種金属の接合とフィラーメタルの有効性ついて検討した.
方法: 7種類の金属および4種類のフィラーメタルを用いて実験を行った. 2枚の金属板を付き合わせてレーザー溶接し, 引張試験および走査型電子顕微鏡 (SEM), X線マイクロアナライザー (EPMA) の試料とした. 直径3mmの金属棒を製作し, 熱膨張測定用の試料とした. 接合強度試験, SEMの観察, EPMAによる分析, 熱膨張係数の測定を行った.
結果: 1. すべての金属は同種接合において, 十分な接合強度と接合状態を示した. 2. フィラーメタルを用いた場合, コバルトクロム合金と白金加金合金の接合において良好な結果が得られた. 3. フィラーメタルを用いなかった場合, コバルトクロム合金と金銀パラジウム合金および白金加金合金の接合, チタン含有コバルトクロム合金と白金加金合金の接合において良好な結果が得られた.
結論: 異種金属同士の接合の場合でも, 臨床的に十分な強度を有する溶接の組合せがあること, フィラーメタルの使用が効果的な場合があることが明らかになった.