日本補綴歯科学会雑誌
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口腔にかかわるQOL評価質問票 (OHIP) の翻訳等価性の検討
中居 伸行貞森 紳丞河村 誠笹原 妃佐子濱田 泰三
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2004 年 48 巻 2 号 p. 163-172

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抄録

目的: Oral Health Impact Profile (OHIP) はオーストラリアで開発された口腔QOLの評価法であり, 近年では, ほかの国々でも徐々に使用され始めている. 今回われわれは, OHIPの原版 (英語版) を日本語に翻訳し, 日本での使用の妥当性を確認した。
方法: 本研究は2力国語に通じたもの (39名) を対象に, 原版と邦訳版の回答を比較・検討した. OHIPの翻訳の妥当性は項目ごとの一致率とλ係数 (対象性評価の指標) によって分析した.
結果: 尺度ごとの平均一致率はそれぞれ, 「機能的な問題」75%, 「痛み」76%, 「不快感」69%, 「身体的困りごと」79%, 「心理的困りごと] 77%, 「社会的困りごと」90%, 「ハンディキャップ」85%であった. 全49項目中41項目は0.4以上のλ係数を有し, 高い一致性が認められた. 上記7尺度のα信頼性係数は, 原版では0.76-0.90, 翻訳版では0.77-0.89にあり, 日英両版の尺度の内的妥当性が変わらないことが示唆された. 日英両版における7尺度のSpearmanの順位相関係数は0.83-0.92 (p<0.001) で, 優位な相関性を示した.
結論: 日本語版OHIPは, このように高い信頼性と翻訳の妥当性を有することから, 日英の2言語間で使用可能であることが示唆された.

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