日本補綴歯科学会雑誌
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6自由度咬合器を用いた機能的咬合面製作法の開発
西川 啓介薩摩 登誉子重本 修伺坂東 永一中野 雅徳三好 礼子山崎 有紀子安陪 晋松浦 広興
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2004 年 48 巻 3 号 p. 433-440

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抄録

目的: 本研究の目的は, 歯列模型により6自由度顎運動を高精度に再現する6自由度咬合器を用い, 口腔内装着時において咬合調整を行う必要がきわめて少ない機能的咬合面を形成する方法を開発することにある.
方法: 上顎左側第一大臼歯の全部鋳造冠の製作を予定した症例を被験者として選択した. 顎運動の測定には当教室で開発した磁気を利用した顎運動測定器BS-3を用いた. また, 顎運動の再現には6軸自動制御ステージ, ヘキサポッドを用いた.
結果: 作業模型の支台歯にFGPワックスを盛り上げたオクルーザルテーブルを装着し, 顎運動の再現を行うことにより, 機能運動経路の形成を行った. 再現した顎運動の一部には咬頭嵌合位よりさらに深く咬み込む経路が観察された. これは機能運動時に生じる歯列の微少な変形によるものと推察された. 機能運動経路が形成されたオクルーザルテーブルを彫刻することにより蝋型採得を行い, 全部鋳造冠の製作を行った. 完成した全部鋳造冠は口腔内試適時において咬合調整の必要を認めなかった.
結論: 6自由度顎運動を機械的に再現する6自由度咬合器を開発し, 上顎左側第一大臼歯の歯冠補綴に使用した. また6自由度咬合器を用いて機能運動経路を形成することにより, 口腔内装着時における咬合調整を必要としない全部鋳造冠を製作することが可能であった.

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