日本補綴歯科学会雑誌
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オールセラミックの色調に関する研究
IPS Empressの製作技法およびセメントによる色調の相違について
羽田 詩子貞光 謙一郎山村 理川内 大輔藤井 輝久
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2004 年 48 巻 5 号 p. 703-712

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抄録

目的: 審美的要求が高まるなか, 歯科界においてはオールセラミックが登場し, 臨床に普及している.そのなかでも高い光透過性を有し, 天然歯の色調再現性に優れたIPS Empress (IVOCRAL) に着目した。一般的には前歯にはレイヤリングテクニック, 臼歯にはステイニングテクニックが応用されているが, その詳細は不明である.製作方法およびセメントの相違が臨床上いかにオールセラミックの色調に影響を及ぼすかについて検討した.
方法: 27歳女性の上顎左側中切歯にオールセラミッククラウンをEmpress (レイヤリング, ステイニングの各技法) により製作し, VariolinkIIの各種トライペーストを介在させ, 高速測色分光光度計CMS-35FSを用い, 歯頸・中央・切縁部の3点を各3回測色し, その平均値を採用した.
結果: 上顎右側中切歯 (天然歯) との色差 (△E*ab) を求めた結果, ステイニングのセメントなし・透明において小さい値を示した.C*L*より, レイヤリング・ステイニングともにオペークホワイトにおいて最も影響が認められた.
結論: 1.症例によってはステイニングテクニックを前歯クラウンに用いることは有効である.2.カラーセメントによる色調の調整が可能であることがうかがえる.3.オペーク色のセメントは, 支台歯の色調を遮蔽するのと同時に特有の色調をクラウンに反映する.

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