日本補綴歯科学会雑誌
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有床義歯を有する患者の口腔のヒトパピローマウイルス感染についての研究
西村 叔枝前田 初彦服部 正巳東谷 文宏村松 郁朗亀山 洋一郎田中 貴信川口 豊造
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2004 年 48 巻 5 号 p. 713-722

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抄録

目的: ヒトパピローマウイルス (HPV) は, 口腔領域に種々の病変を発生させるといわれている.本研究では, 中高年者における有床義歯装着とHPV感染との関連を検索した.
方法: 愛知学院大学歯学部附属病院に来院した50から70歳代の47人の頬粘膜の擦過サンプルを用いDNAを抽出して, PCR法にて増幅させ, 電気泳動により確認した.さらに, HPV遺伝子型を決定するためにシークエンスを行った.
結果: 検索した47人のうちHPV感染率は51.1%であった.性差はみられず, 年代別では, 60歳以上から高い感染率が認められた.有床義歯装着の有無に関しては装着者に有意に高い感染率が認められた.HPVタイプはHPV11, 4, 16の順に多く検出され, 有床義歯未装着者ではHPV4, 11, 装着者ではHPV11, 16, 4の順に多く検出された.
結論: 中高年者の正常口腔粘膜にHPV感染が認められ, 有床義歯装着の有無により検出されるHPVタイプ, および感染率に違いがあることがわかった.以上の結果より, 有床義歯装着とHPV感染には何らかの関係があることが示唆された.

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