日本補綴歯科学会雑誌
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血流画像化装置Periscan PIM IIRの口腔内計測への応用
平井 秀明
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2005 年 49 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
目的: われわれは従来から, 口腔粘膜の血流動態が粘膜の健康状態の判定や将来の変化を予測する1つの指標になりうるものとの仮説の基に, 各種の血流計測を行いながらその確認を続けている.最近, より広範な部位での血流分布の把握に適した血流画像化装置が開発された.本研究では, この新しいシステムを口腔内計測に応用することを目的として, 無歯顎の上顎について, 血流分布の測定と測定誤差の補正法を確立した.
方法: 測定条件の測定値への影響を検討するために, 計測距離と被験部位の傾斜による測定値への影響を確認した.また, 上顎無歯顎者11名を対象として, 血1流分布の測定とその補正を行った.
結果: 入射角の増大に伴って, 測定値は減少していく傾向がみられた.測定部とスキャナーヘッドの距離が離れると, 測定値は減少していく傾向がみられた.床下粘膜の並流分布は, 顎堤部においては臼歯部より前歯部において高く, 口蓋部においては側方部で低く, 前方部において高かった.
結論: 義歯床下粘膜の血流分布は, 各部の解剖学的特徴や, 臨床的所見に対応していることから, 今後より詳細に検討を加えることで, 健康状態や補綴処置後の評価法の1つとして利用し得る可能性が示唆された.
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