日本補綴歯科学会雑誌
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歯冠修復治療に必要なチームコミュニケーション
2) 歯科技工士の立場から
永野 清司田上 直美木村 健二
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2005 年 49 巻 3 号 p. 452-458

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抄録

歯冠修復治療の際には, 歯科医師と歯科技工士との密なるコミュニケーションが重要となる. 特に, 前歯部歯冠色修復物の製作の際には, 歯科技工士は歯科医師が選択した色を理解し再現するという重要な役目を担う. ビタシェードを用いた簡便な色調採得はときとして主観的であり, また情報伝達不星をももたらすことがある. このような問題を克服するため, 口腔内写真撮影, 描画, 多要因に基づくシェードガイドなどを用いた色調採得技術が案出されてきた. また, 色調採得の主観性を排除して正確な修復装置を製作するため, デジタル写真撮影による採得システムも最近では行われている. しかしながら, これらの技術をもってしても, 歯冠色修復物製作において正確な色を伝達するコミュニケーションの困難さは完全に払拭できるものではない. 学生もしくは研修医時代に教えられた技術のみで色調採得を行い, 新しい技術に疎い歯科医師も多いように思う. 本総説では, 歯科臨床において現在用いられているさまざまな色調採得技術を紹介する. 歯冠色修復においては, 歯科医師, 歯科技工士, そして患者の, 3者のコミュニケーションが最も重要であるということが本総説の結論である.

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