日本補綴歯科学会雑誌
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49 巻, 3 号
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  • 技工サイドと臨床サイドのチームコミュニケーション
    玉本 光弘
    2005 年49 巻3 号 p. 413
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 玉本 光弘
    2005 年49 巻3 号 p. 414-424
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    歯科医師と歯科技工士との間に良好なチームコミュニケーションを構築するためには, お互いに歯科診療 (診療サイド) と歯科技工 (技工サイド) の内容を理解したうえで, 対等な立場で接する必要がある. しかしながら, 現在, 歯科医師卒前教育では歯科技工実習の内容および時間数が削減されており, 歯科技工の内容および工程を十分理解しないで卒業することが危惧されている. また, 卒後臨床研修においても歯科技工および歯科技工士とのチームコミュニケーションが研修項目に十分に組み込まれない研修体制となっている. このままでは, 新卒歯科医師と歯科技工士間の良好なチームコミュニケーションの構築は困難と思われる. そこで, 問題提起と歯科医師の卒前および卒後教育において, 歯科医師と歯科技工士との問に良好なチームコミュニケーションを構築するための指針を与える目的で, 現在の臨床における歯科医師と歯科技工士との間のチームコミュニケーションの現状を調査した. すなわち, 歯科臨床で歯科医師と歯科技工士を結ぶ最も重要な情報源で, その作成が法的にも義務づけられている歯科技工指示書の実態に関してアンケート調査を行い, 歯科医師と歯科技工士のコミュニケーションの現状を検討した. その結果, 現行の歯科技工指示書は記載項目と記入内容が不十分で, 必要項目が全て記載された歯科技工指示書の作成と歯科医師による適切な記入が必要であることが示された.
  • 1) 歯科医師の立場から
    小出 馨, 宮本 績輔
    2005 年49 巻3 号 p. 425-434
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    有床義歯による欠損補綴が, その治療目標である “残存組織保全と機能回復率向上の両立” を最大限に達成するためには, 歯科医師と歯科技工士の円滑な連携と, 義歯の設計から製作にいたるまでの基本的な知識と技術に関する共通の認識が不可欠である. そのうえで, 術前の診査診断から得られた補綴装置製作に必要な患者のさまざまな情報を, 歯科医師から余すところなく歯科技工士へ的確に伝達することが, 治療を成功に導く必須条件である. そして, これらの歯科医師と歯科技工士の両者間で共有されるべき情報は, 歯科技工指示書を通して歯科医師から歯科技工士へ伝達されるため, その適切な記載とそのほかの必要に応じた情報添付がきわめて重要となる. この添付資料の往来による意見交換は, 義歯を製作していく過程で有効なのはもちろんのこと, 患者さんの再来院時に残存組織保全や機能回復率向上に何らかの問題が生じていた場合に, 補綴装置の設計や技工操作に対する再評価のための貴重な資料ともなる. 部分床義歯による治療にあたり, “残存組織保全” と “機能回復率向上” に関連性の高い (1) 義歯の動きの最小化,(2) 咬合様式,(3) 支台歯の負担軽減,(4) 歯周組織への配慮 (5) 感覚上の配慮,(6) 審美性の6要素を歯科医師と歯科技工士が同じ基準で捉えることが大切であり, そのために筆者らは “設計チャート” を製作して臨床応用し, チームコミュニケーションに役立てている.
  • 2) 歯科技工士の立場から
    星 久雄
    2005 年49 巻3 号 p. 435-440
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    義歯治療における臨床サイドと技工サイドのチームコミュニケーションは, 治療目標である残存組織保全と機能回復率の向上を最大限に達成するために, 臨床サイドの歯科医師が担当する診査・診断・設計・印象咬合採得・装着までの要点と, 技工サイドにより間接法で行われる技工操作の要点を, 両サイドが十分認識することで, その治療目標においての円滑な連携と協力体制が図られる. 超高齢化社会に入った現在, ますます義歯治療の需要も高まり, また, 患者さんの要求度も高まるなかで, 義歯治療の術式も多様化し, 技工サイドにおける技術進歩もめざましいものがある. 特に, リジットサポートを代表とするパーシャルパラレルミリングやコーヌスクローネによる技工操作は複雑な作業工程が必要である. また, 顎機能と調和した咬合構成や歯周組織を考慮した歯冠形態など審美性も要求され, 臨床サイドから多数の情報も必要とされる義歯治療において, それぞれの情報のなかで行われている技工操作の現状を, 改めて整理し, 技工作業に必要な臨床サイドからの情報と, 複雑になる技工作業と作業ステップを, 簡便で的確に行えるようまとめる.
  • 1) 歯科医師の立場から
    末瀬 一彦
    2005 年49 巻3 号 p. 441-451
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    歯科医師と歯科技工士が良好な連携を得るためには, 患者さんに提供する歯科技工物の形態や機能について両者が情報を共有することである. 歯冠修復治療において歯科医師が歯科技工士に対して行うべきコミュニケーションの方法, 内容について述べる. コミュニケーションは歯科技工士に情報を与えるという一方通行ではなく, 歯科技工士がもっている知識, 技術を歯科医師に伝達するという双方向性の連携をいう. 歯冠修復物製作においては生物学的安定性, 機能的要件, 審美的要件および構造力学的要件 (長期安定性) が具備要件として必要で, 患者さんの求めるものである. これらの要件を歯冠修復物に表現するためには, 歯科医師は歯科技工士と十分なコミュニケーションをとる必要がある. 最終的な補綴装置のイメージを共有するためには, できるだけ早い時期にプロビジョナルレストレーションによって具現化し, お互いのコミュニケーションをスムーズにする. また, 模型から得られない情報で, 歯冠修復製作に必要な内容は歯科技工士に伝達することが必要で, 支台歯形成, 印象材の取り扱い方, 咬合関係の再現, 色調再現, 強度の安定性は歯科技工士とのコミュニケーション上, 特に重要な歯科医師の役割である. 患者さんにとって満足のいく歯冠修復物の提供は, 歯科医師と歯科技工士の共同作業によって達せられるものであり, 歯科医師と歯科技工士との信頼関係が強ければ強いほど血の通った歯冠修復物となる.
  • 2) 歯科技工士の立場から
    永野 清司, 田上 直美, 木村 健二
    2005 年49 巻3 号 p. 452-458
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    歯冠修復治療の際には, 歯科医師と歯科技工士との密なるコミュニケーションが重要となる. 特に, 前歯部歯冠色修復物の製作の際には, 歯科技工士は歯科医師が選択した色を理解し再現するという重要な役目を担う. ビタシェードを用いた簡便な色調採得はときとして主観的であり, また情報伝達不星をももたらすことがある. このような問題を克服するため, 口腔内写真撮影, 描画, 多要因に基づくシェードガイドなどを用いた色調採得技術が案出されてきた. また, 色調採得の主観性を排除して正確な修復装置を製作するため, デジタル写真撮影による採得システムも最近では行われている. しかしながら, これらの技術をもってしても, 歯冠色修復物製作において正確な色を伝達するコミュニケーションの困難さは完全に払拭できるものではない. 学生もしくは研修医時代に教えられた技術のみで色調採得を行い, 新しい技術に疎い歯科医師も多いように思う. 本総説では, 歯科臨床において現在用いられているさまざまな色調採得技術を紹介する. 歯冠色修復においては, 歯科医師, 歯科技工士, そして患者の, 3者のコミュニケーションが最も重要であるということが本総説の結論である.
  • 本間 和代, 河野 正司, 本間 済, 櫻井 直樹
    2005 年49 巻3 号 p. 459-468
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 片側咀嚼は, 初回嚥下までの咀嚼回数が多いうえ, 口腔前庭への粉砕食物の貯留率が高いとの報告がある. しかし, 咀嚼方法と咀嚼に関与する歯および口腔を構成する各要素とのかかわりは明確にされていない. そこで, 自由咀嚼や片側咀嚼といった咀嚼方法が咀嚼能力にいかなる影響を与えるか明らかにし, 自由咀嚼と片側咀嚼の機能的な差異について検討することを目的とした.
    方法: 顎口腔系に異常を認めない正常有歯顎者116名を被検者とした. 両側を乗り換える自由咀嚼と片方のみでの片側咀嚼によるピーナッツの初回嚥下までの咀嚼回数を調べた. つぎに, 唾液分泌量, 咬合力, 臼歯接触点数を測定し, 平均値を基準とした大小2群の自由咀嚼と片側咀嚼の回数差を求めた. また, 被検者より32名を抽出し, 初回嚥下直前の粗粒子残留量を調べ, 唾液分泌量, 咬合力, 大臼歯接触点数の大小による残留量の比較を行った.
    結果: 全被検者の初回嚥下までの咀嚼回数は, 自由咀嚼は片側咀嚼より10%少なかった. また, 唾液分泌量, 咬合力, 臼歯接触点数の大小2群のいずれも自由咀嚼の咀嚼回数が片側咀嚼より少なかった. 初回嚥下直前のピーナッツの粉砕度を粗粒子残留率として求めると, 咀嚼に関与する各要素において, 唾液分泌量および咬合力の各小群において有意差が認められた.
    結論: 唾液分泌量, 咬合力, 臼歯接触点数の大小にかかわらず, 自由咀嚼は片側咀嚼に比較して, 咀嚼回数が少なく, 自由咀嚼の咀嚼能率が高いことが示された.
  • 今井 敦子, 康田 省互, 松島 恭彦, 中西 紀, 田中 昌博, 川添 禿彬
    2005 年49 巻3 号 p. 469-477
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 介護保険施設において要介護者に対する口腔ケアや歯科治療などは盛んに進められてきているものの, 摂食・咀嚼・嚥下障害への対応および歯科が関与すべき食事介護に関して介入が遅れている.本研究では, 介護保険施設での食事介護のアンケートならびに実態調査を行うことを目的とした.
    方法: 介護保険施設にて担当患者を有する医師を対象に食事介護に関するアンケート調査を行った.さらに, 介護保険施設の入院・入所者に, 年齢, 食事メニュー, 咬合支持の有無, 義歯の有無について, 食事への満足度および自宅療養中の食事との相違についてのアンケート調査を用い, 検討を行った
    結果: 医師をはじめとして, 介護にかかわる人たちに咀嚼の重要性の認識が不足していた、自宅でも施設でもごはんが食べることができれば, 食事に対する満足を得られる結果となった.ごはんを食べるためには, 残存歯の保存をはかり, 咬合支持を維持する.また欠損を補い, 適合の良い咬合支持をもつ義歯の装着が必要であることが明らかとなった.
    結論: 咀嚼の重要性について, 介護者への情報公開を行っていくとともに, ごはんを食べられるか否かをエンドポイントした食事メニュー決定のための客観的な咀嚼能力の診査方法を確立することは, 食事介護支援システムに必要であることが示された.
  • 虫本 栄子, 小野田 利枝, 河上 雄之介, 田中 久敏
    2005 年49 巻3 号 p. 478-487
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 局部床義歯大連結子の設計の違いが生体の許容性に及ぼす影響を客観的に捉え得るかどうかを脳波学的に検討することである.
    方法: 健常有歯顎者9名を対象に, 全口蓋床型, 前歯部型, ホーシュー型, パラタルバー型 (バー型), パラタルストラップ型 (ストラップ型) の計5種類の形態の実験的口蓋床を装着し, 感覚評価 (VAS) および咀嚼時の咬筋および側頭筋後部筋電図と咀嚼前後の脳波を記録, 分析した.
    結果: 感覚評価の成績は快適感, 異物感, 舌感, 嚥下の行いやすさについて, いずれの口蓋床においてもコントロールに比較し有意に不良な成績を示し, この傾向は全口蓋床型, ホーシュー型, ストラップ型で著明であった.咀嚼筋活動電位の協調パターン, 群化放電分析, 嚥下閾はいずれの口蓋床においてもコントロールとの間に差は認めなかった.感覚評価で特に成績の不良であった口蓋床では, 咀嚼前後のα波含有率 (%α) とβ波含有率 (%β) の著明な相反活動を認め, またα帯域の1/fゆらぎ特性も, 低周波数領域で咀嚼後に傾きが-1から離れる傾向を示した.
    結論: 咀嚼前後の脳波α波, β 波含有率の挙動およびα帯域1/fゆらぎ特性の挙動は感覚評価の成績とよく符合していたことから, 局部床義歯大連結子の設計の違いが生体の許容性, 受容性に及ぼす影響は脳波学的に検出できる可能性が示唆された.
  • 吉元 奈美恵, 赤坂 彩子, 割田 研司, 石浦 雄一, 樋口 大輔, 胡 書海, 川和 忠治
    2005 年49 巻3 号 p. 488-497
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    目的: 高出力光重合器 (ハイパーLII, 山八歯材工業) を用いて試料を作製し, 前装冠用硬質レジンの色調安定性について検討する.
    方法: 市販の前装冠用硬質レジン4種類を用いて, ハイパーLIIにて重合後, コーヒー液に浸漬.浸漬前後の色差について1, 2, 4週間の時点で測色を行い, 浸漬前と各期間浸漬後の経時的な色調の変化を検討した.
    結果: 1.コーヒー液浸漬により, 全体的にL*は経時的に小さくなり, a*では変化はほとんどみられず, b*は経時的に大きくなった.2.各製品間に色差の違いが認められ, 色差は経時的に大きくなり, 4週間浸漬後の研磨面では, 3.0 [デンタカラー (DEC), デンティン色] ~6.3 [ソリデックス (SOL)・エナメル色] であり, ガラス面においては0.9 [グラディア (GRA), デンティン色] ~5.2 (SOL・エナメル色) であった.しかし, 色差は従来の報告より小さく, 約1/3~1/5であった.3.デンティン色に比べてエナメル色で色差が大きくなる傾向がみられた.4.セシードII (CEII), DEC, SOLではガラス面と研磨面で色差はほぼ同程度の値であったが, GRAにおいては, ガラス面に比べて研磨面で色差は大きかった.
    結論: 高出力光重合器を用いて重合することにより, 経時的な色調の変化が少なくなることが示唆され, 色調安定性を向上させるために有効であると考えられた.
  • 小池 麻里
    2005 年49 巻3 号 p. 498-501
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は, 歯科治療終了2年経過後, 舌尖のぴりぴり感および下口唇の灼熱感を自覚した70歳の男性である.金属アレルギーを疑い, パッチテストでZn, CoおよびHgに陽性反応を示し, また, 口腔内金属修復物が当該金属元素と一致した.被疑金属の除去, 非感作材による治療を主体の経過観察で, 症状軽快が認められた.
    考察: 多くの病因が口腔熱感を引き起こすとされている.今回の症例は, 金属に対する口腔粘膜のアレルギーが原因であることをパッチテストにより診断した.治療終了後の患者教育と今後の経過観察が重要な症例である.
    結論: 歯科用金属アレルギーが口腔熱感の原因となり得る可能性が示唆された.
  • 完山 学
    2005 年49 巻3 号 p. 502-505
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 1|1喪失に対してクラスプを維持装置として用いたオーバーデンチャーを装着した50歳女性患者が, 発音障害を主訴に平成11年3月に来院した.発音障害は, クラスプが会話時に舌に頻繁に接触することにより生じていると考えられた.口腔インプラント義歯による補綴治療では審美回復が困難であったため, 磁性アタッチメントを利用した義歯で機能回復を図った.
    考察: 装着後, 6カ月ごとの定期観察を行っているが, 発音障害, 機能障害もなく, アンケート調査からも, 口腔機能や審美性に対して患者の高い満足が得られていることが確認できた
    結論: 発音障害を訴える患者に対して磁性アタッチメント義歯が有効であることが示唆された.
  • 田村 年彦
    2005 年49 巻3 号 p. 506-509
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    症例の概要: 患者は悪性腫瘍のため上顎左側半側を切除した77歳の女性.主訴は咀嚼および発音障害であった.義歯は非解剖型硬質レジン歯を使用した天蓋開放型義歯と, 下顎総義歯を装着した
    考察: 患者は咀嚼・発音機能の回復に十分満足した.これは非解剖型硬質レジン歯を使用したことで転覆運動を最小限に抑えることができたためと推察された.また, 術後3年経過後も栓塞部内面に水分が溜まることを認めなかった.これは天蓋開放型顎義歯を選択したためと示唆された.
    結論: 非解剖型硬質レジン歯使用の天蓋開放型顎義歯を選択したことで, 患者は咀嚼・発音機能の回復に十分満足し, 清掃性も向上した.
  • 骨移植を伴わない前歯部外観回復
    櫻井 裕也
    2005 年49 巻3 号 p. 510-511
    発行日: 2005/06/10
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 2005 年49 巻3 号 p. 513
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
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