日本補綴歯科学会雑誌
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ラット頭頂骨における骨形成促進剤TAK-778含有β-TCPの効果
含有量の違いによる骨形成量の比較
笹澤 武史吉江 紀夫渡邉 文彦畑 好昭
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2006 年 50 巻 3 号 p. 422-431

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抄録

目的: 本研究の目的は, 骨形成促進剤3-ベンゾチエピン誘導体TAK-778 (武田薬品工業) の担体としてβ-リン酸三カルシウム顆粒β-TCP (オリンパス光学) を用い, その含有量を変化させることによる骨形成量を形態組織的に検討することである.
方法: 週齢SD系雌性ラットの頭頂部に切開を加え, 骨膜を剥離し頭部中央にチタンチューブをレジン系セメントにて固定した. チタンチューブ内にTAK-778とβ-TCPを混和したものを各条件で填入した. 4週後, 8週後および16週後に組織標本を作製し, 組織形態的に観察しNIHイメージにて新生骨の割合を比較検討した. 統計学的分析は, TAK-778群および各週群の要因で一元配置分散分析を行い, 各平均値間の検定にはFisherのPSLDによる多重比較 (P<0.05) を行った.
結果: 形態組織観察から, 含有量, 埋入期間を問わずTAK-778含浸群すべてに新生骨を認め, 各平均値間の検定では16週β-TCP+TAK778100mgの複合体で最も多くの新生骨が認められた.
結論: 1. TAK-778は, 本実験でも早期に新生骨の形成を促進することが確認できた.2. β-TCPを用いることにより, TAK-778は長期的に作用することが示唆された. 3. TAK-778とβ-TCPの割合を変化させることにより骨形成時期は異なっていた. 4. 早期の新生骨量は, TAK-778100mgよりもTAK-77810mg, および50mgが良好であった. 以上のことより, TAK-778は新生骨形成を促進し, また, β-TCPはその担体としての有用性が認められた.

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