抄録
マウスの水中篭回し行動を利用した抗うつ効果の実験で, 補中益気湯の慢性経口投与後11日目および14日目に, 定型抗うつ薬のimipramineと同様の効果が報告されている・しかし, この結果はマウスの自発運動の充進を反映した可能性も懸念される. そこで, マウスの自発運動量に及ぼす補中益気湯慢性投与の効果を検討した. マウスの自発運動量は, 補中益気湯の常用量 (60mg/kg/day) を用いた場合, 投与後2日目では減少し, 5日目と8日目では増加し, 11日目および14日目には対照と同程度にまで回復する傾向が認められた. また, 補中益気湯の投与量を増加 (150,300mg/kg/day) した場合においても同様の傾向が認められたが, 用量依存性は認められなかった・以上の結果から, 補中益気湯の慢性投与後11日目, 14日目におけるマウスの篭回し行動の促進は, 少なくとも補中益気湯によって自発運動が充進した結果ではないことが示された.