2025 年 2 巻 1 号 p. 21-32
心理療法の治療要因は,クライエント要因,セラピスト要因,技法要因,関係要因,治療外要因,希望・期待・プラシーボ要因等に分類されて考えられてきた。この中でもクライエント要因は,しばしば心理療法の効果を左右する上で最も重要な要因であるとされながらも,それに見合う注目を受けてこなかった。本論文は,クライエント要因が,理論上も実践上も軽視されている現状の認識を共有し,その背景事情を考察する。その後,多様な治療要因についてのこれまでの研究知見を概観した上で,心理療法統合においてクライエント要因がどのように扱われてきたかを検討する。最後に,クライエント要因に注目した心理療法統合について論じる。