基礎理学療法学
Online ISSN : 2436-6382
総説
高密度表面筋電図法を用いた運動単位の非侵襲的な解析手法
―健常者~神経変性疾患への応用―
西川 裕一
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2024 年 27 巻 1 号 p. 68-74

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抄録

 近年,工学領域を中心に高密度表面筋電図法を用いた非侵襲的な運動単位の解析アルゴリズムの開発が進んでいる。本手法は,単一筋内に60個以上の複数の表面電極を貼付して,筋線維上に伝搬する活動電位波形の解析を行うことで,個々の運動単位の活動のタイミングであるSpike trainを同定することができる。これまで,運動単位の詳細な活動評価には針筋電図法が用いられてきたが,侵襲的な手法であること,サンプリングバイアスが生じやすいこと,運動課題の制約といったデメリットも多く存在している。このような背景から,非侵襲的に運動単位の活動動態を検出することができる高密度表面筋電図法は,運動生理学領域において中枢神経の未知なる制御機構を解明し得る可能性を秘めている。本総説では,これまでに我々が取り組んできた健常者および神経変性疾患における運動単位の活動動態特性について紹介する。

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