日本赤十字看護学会誌
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原著
若年成人期に精巣腫瘍の診断・治療を受けた人の経験
遠山 義人
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キーワード: 若年成人, 精巣腫瘍, 経験
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2019 年 19 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

本研究は,若年成人期に精巣腫瘍の診断・治療を受けた人の経験を,当事者の視点から明らかにすることを目的とした質的記述的研究である.若年成人男性3名に各3回のインタビューをした結果,『悪循環から抜け出すががんからは抜け出せない』Aさん,『病気になった自分を受け入れずに苦悩しながらがんと距離を置ける生活へと向かう』Bさん,『アイデンティティが揺らぎながらも取り戻していく』Cさん,というテーマが導かれた.

診断後,彼らは過去と分断され今に留まるような時間経験をし,自ら孤独の世界に巻き込まれていた.さらに,当たり前に来ると思っていた未来を限定され,将来の自己像は崩れ,男性としての自己存在を問う経験をしていた.

看護師は,彼らが医療とは異なる時間経験をしていることを理解し支援する必要がある.さらに,治療と関係のない話も取り入れながら信頼関係を築く等,彼らが気がかりや苦悩を語るきっかけを作ることによって,彼らが自己を認め,新たな価値を見出す可能性があると考えられた.

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© 2019 日本赤十字看護学会
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