日本赤十字看護学会誌
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研究報告
東日本大震災時の災害拠点病院における赤十字の病院助産師と派遣助産師の協働
谷口 千絵喜多 里己
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2019 年 19 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

【目的】東日本大震災時の被災地の災害拠点病院産科棟の妊産婦支援に向けて赤十字の病院助産師と派遣助産師がどのように協働したのか記述する.

【方法】病院助産師2名と派遣助産師2名によりフォーカスグループインタビューにてデータを収集し,フォーカスグループインタビューのためのInterpretative Phenomenological Approachを用いて分析した.

【結果】2つのテーマが抽出された.「助産師と赤十字のつながりの中で病院助産師のやり方に派遣助産師が合わせることに徹する」は,赤十字による災害支援を受けた助産師の体験とその場その人に合わせて働く助産師の専門性から違和感なく派遣助産師は支援先の病棟の助産師のやり方に合わせ,病院助産師はその意図を受けとめた.「見つけにくい妊産婦と通常の保健指導ができないことで残った課題」は,震災後の母子の支援について,病院助産師と派遣助産師は共に課題をみつけ解決策を探った.「病院助産師には話せない被災体験を派遣助産師が受け止める」は,被災した同士である病院助産師と妊産婦の関係を派遣助産師が補った.

【結論】赤十字の支援の積み重ねと助産師との専門性により助産師の協働は成立したが,妊産婦のケアに課題が残った.

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© 2019 日本赤十字看護学会
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