日本赤十字看護学会誌
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研究報告
なぜ保健師は,福島第1原子力発電所事故の被災地において発災直後から今日まで保健師活動を続けられるのか?
高瀬 佳苗鈴木 学爾
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2020 年 20 巻 1 号 p. 70-78

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抄録

本研究は,なぜ福島第1原子力発電所事故の被災地保健師が,発災から現在まで保健師活動を続けられるのかを明らかにするため,災害看護活動を継続している保健師7名を対象に半構成的面接を行い,質的帰納的に分析を行った.その結果,【災害時の家族の協力や職場環境が保健師活動の下支えにある】【保健師活動を助けてくれる避難住民の存在がある】【災害時の保健師,他専門職,同じ自治体職員の支えがある】ため保健師活動が続いていた.その上で,刻々と変わる過酷な状況の中でも【長期間の災害復興業務を乗り切れる柔軟さをもっている】ことや,【放射線災害の自治体保健師として与えられている使命を認識している】ことが相互に影響しながら保健師活動の継続につながっていった.さらに,終結が見えない保健師活動の中でも【避難住民と一緒に被災地で生きることが保健師活動の原動力になっている】と思いながら保健師活動を続けていることが明らかになった.

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© 2020 日本赤十字看護学会
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