抄録
過去,マツダ病院では,新卒看護師の1年以内の離職率が88%という高い数値であった。しかし,組織改革によりその後,離職率ゼロを達成し,逆に全国平均を大きく下回る数値を示した。本研究では,状況論と呼ばれる,コミュニティ単位で学習をとらえる理論に基づき,当初の様子から,どういった組織改革を通して離職率ゼロを達成したのか,職場での人間関係,教育機関との関係,新人採用活動,他部署との関係,新人教育の5点に分類整理し考察していく。特に,新人と管理職間,大学と病院間などの間にある境界をどう越えていくか,つまり「越境」が離職問題の改善のポイントになることを示した。