2015 年 34 巻 2 号 p. 113-117
73歳男性。インフルエンザB型感染に対する内服・点滴加療中に呼吸困難が出現し,次第に増悪したため第7病日に造影CTを施行したところ,右肺動脈に血栓を認め肺塞栓症と診断された。進行する低酸素血症の原因を感染性急性呼吸窮迫症候群(ARDS)と肺塞栓症によるものと考え,抗凝固療法を行うとともに,非侵襲的陽圧換気(NPPV)を用いて呼吸管理を開始したところ,酸素化が改善し,第12病日にNPPVを終了することができた。肺塞栓症を伴った重症ARDSにも関わらず,厳密なモニタリング下にNPPVで管理することができたと考えられた。