蘇生
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意識障害患者に対する“音楽運動療法”とその脳活動電位・自律神経機能
―正常者の心地よさの体験と1/fゆらぎを参考に―
後藤 幸生半田 裕二野田 燎
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1999 年 18 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

サクソフォン, ピアノ演奏とトランポリン上下振動刺激を同時に行う「音楽運動療法」を, 脳卒中後3年間意識障害が続いている患者に行い, 健常若年者を対照にして, その有効性を検討した。10秒ごとの左右脳活動電位のパワーの変動, 1分ごとの心拍変動周波数解析による交感神経活動度LF/HF比, および心地よさの指標として1/fゆらぎを数値化したもので医学的に検討し考察を加えた。この患者では音楽実演奏のα波中心の脳波活動電位パワーポテンシャルに対する影響が異なり, 健側脳に鎮静的に, 患側脳に刺激的に, またトランポリンが健側脳に刺激的に, 患側脳に鎮静的に作用し, さらに演奏の併用でこの反応を異にした。しかし, いずれにせよ実演奏とトランポリン時には1/fゆらぎを来しており, 心地よい気分にあることを示し, 交感神経活動度が本療法反復により次第に活発な変動を来すようになったことで, 脳障害に対する本音楽運動療法が脳・自律神経機能賦活活性化に効果あることを実証した。

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