抄録
虚血性脳障害における神経細胞死の機序としてグルタミン酸の放出, グルタミン酸受容体, カルシウムチャネル, フリーラジカル, 一酸化窒素 (nitric oxide: NO) , アポトーシスなどの関与が論じられ, それらの機序に基づいた脳保護対策の確立が重要課題となっている。本稿では, 一過性脳虚血後の海馬錐体細胞に認められる遅発性神経細胞死の分子機構をアポトーシス性細胞死の面から検討し, この細胞死にbc1-2, bax, カスパーゼなどのアポトーシス関連遺伝子群が発現し変動すること, さらに, その上流で誘導型NO合成酵素 (inducible NO synthase: iNOS) 由来のNO・と, スーパーオキシド (O-・2) が関与している可能性のあることを提示した。