日本鼻科学会会誌
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原著
内視鏡下鼻副鼻腔手術における医療機器関連圧迫創傷(MDRPU)とその対策
梅本 真吾児玉 悟立山 香織鈴木 正志
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2018 年 57 巻 1 号 p. 24-31

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抄録

医療機器関連圧迫創傷(MDRPU: medical device-related pressure ulcer)とは,医療機器やその関連機器を身体に装着することによって引き起こされる皮膚の障害である。従来の褥瘡,即ち自重関連褥瘡(self-load-related pressure ulcer)とは発生機序や部位が異なるため,新たな対策が求められている。今回,当科で経験した内視鏡下鼻副鼻腔手術におけるMDRPUと,現在行っている対策について報告する。当科にて2012年1月から2016年12月までの間に施行された内視鏡下鼻副鼻腔手術症例540例について調査を行ったところ,観察期間内に発生したMDRPUは65例(12.0%)であり,前額部2例,後頭部1例,鼻前庭部62例であった。対策として前額部MDRPUに対してはナビゲーション用のデバイスの変更を行い,後頭部MDRPUに対しては体圧分散枕の使用と頭部の除圧を行い,鼻前庭部MDRPUに対しては緩衝剤の使用を行っており,それぞれ一定の効果を認めている。我々医療者にとって,医療関連機器の集中する手術においては圧迫創傷の可能性があるという意識が重要であり,MDRPUは内視鏡下鼻副鼻腔手術の際の合併症の一つとして認識する必要がある。

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