日本鼻科学会会誌
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原著
  • 高畑 淳子, 山内 一崇, 鈴木 哲史, 藤田 友晴, 佐藤 雅未, 福岡 侑, 中村 千紘, 野村 彩美, 松原 篤
    原稿種別: 原著
    2024 年 63 巻 2 号 p. 226-232
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/22
    ジャーナル フリー

    われわれは,青森県各地のスギ花粉飛散開始時期や飛散数の観測,予測を行ってきたが,必ずしも予測が的中するわけではない。そこで,予測精度の向上を目的に,過去26年分の観測データから青森県各地のスギ花粉飛散開始日と総飛散数の推移,ならびにスギ林の着花指数と総飛散数の関連について検討を行った。

    1996年からのスギ花粉飛散開始日と総飛散数の推移については青森県主要3都市(青森市,八戸市,弘前市)で検討し,総飛散数と着花指数の相関は青森県内5都市で比較検討した。その結果,青森県主要3都市の飛散開始日の有意な早期化と八戸市と弘前市における総飛散数の有意な増加が認められた。青森県内各地の総飛散数と着花指数については,概ね有意な関係性が認められたが,一部の地域では少なかった。その原因としてスギ林と花粉観測地の位置,その時期の風向きの影響などが考えられ,より正確な総飛散数予測のためには,着花指数の算定地域の選択が重要と考えられた。

症例報告
  • 前田 文彬, 平位 知久, 世良 武大
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 63 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/22
    ジャーナル フリー

    緊急外眼角靭帯切離術を含めた眼窩減圧術が視力回復に寄与した遅発性外傷性眼窩内血腫の1例について報告する。症例は37歳男性。X−5日に喧嘩で左眼周囲を殴打され,X−2日に複視を発症した。X日朝,左眼周囲の高度腫脹と急激な視力低下を自覚した。他院で施行されたCT検査で左眼窩内血腫を指摘され,視力低下発症から6時間後,当科を紹介受診となった。来院時,左眼周囲は高度に腫脹し,自力での開眼は不可能であった。用手的に開眼させたところ,眼球は突出した状態で固定しており,視力は手動弁であった。急激な視力低下をきたしていたことから直ちに眼窩減圧術が必要と判断し,診察開始から10分後,外来診察室で局所麻酔下に左外眼角靭帯切離術を施行した。その数分後,視力は指数弁まで改善していることを確認した。さらに30分後に眼科的精査を行い,左視力は0.5(右視力は1.5)まで改善していた。診察開始から6時間後,全身麻酔下に内視鏡下左眼窩減圧術を施行した。術後1ヶ月における再診時,左視力は1.2へと改善し,複視の訴えは消失していた。受傷早期は視力低下を認めない症例であっても視力低下を遅延発症することがあるため,一定期間は慎重に経過観察を行うことが望ましい。また,視力低下を発症した場合,2時間以内に失明に至る確率が高いとされていることから,可及的早期に外眼角靭帯切離術を含めた眼窩減圧術を施行すべきである。

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