日本鼻科学会会誌
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原著
鼻科手術におけるガーゼ関連トラブル改善のための対策とその効果
関根 基樹金田 将治斎藤 弘亮山本 光五島 史行大上 研二
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キーワード: 鼻科手術, ガーゼ, 医療安全
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2020 年 59 巻 4 号 p. 370-375

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抄録

鼻科手術では,ガーゼ使用に関係するトラブルが発生することがあり,患者・医療従事者双方に負担が生じる。鼻科手術におけるガーゼトラブルを調査し,その要因を検討後に医師・看護師双方での解決策をとることで,発生数の減少が得られるかを検証した。

当院では,鼻科手術でのガーゼ使用に関して,2019年6月にスタッフ間で話し合いを行い,運用方法の改善を行った。その前後でガーゼ関連トラブルの発生率を後ろ向きに検討した。運用方法改善前の2018年1月~2019年5月(介入前)と2019年7月~2020年3月(介入後)との間で比較検討した。当院で行った鼻科手術を対象とし,期間中に手術室で発生したガーゼに関するトラブルの数とその内容を検証した。

介入前期間中に鼻科手術は214件行われ,ガーゼに関するトラブルが起こったのは,10件(4.6%)であった。9件はガーゼカウントの不一致であり,全例全身麻酔下の手術だった。そのうち5件はガーゼの重なりによるカウントミスで,4件がガーゼの落下によるものであった。カウントミスは,ガーゼカウンターの一つの挿入部に重なったガーゼを2枚入れてしまうことで起こっていた。局所麻酔下の手術で1件ガーゼの誤飲があり,上部消化管内視鏡検査を行い摘出した。介入後期間中に行った鼻科手術112件のうち,ガーゼトラブルは1件(0.9%)と減少した。

鼻科手術におけるガーゼトラブルの検証とその対策を講じることで,効果を得た。

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