2024 年 63 巻 4 号 p. 502-506
症例は60歳男性。左前頭部の腫脹と疼痛で受診し,鼻副鼻腔CTで左眼窩内と頭蓋内への炎症の波及を伴う急性前頭洞炎と診断され,緊急に内視鏡下鼻副鼻腔手術と外切開による排膿を行った。3ヶ月後,前頭洞炎が再発し,前頭洞管の狭窄によるものと診断した。再手術として拡大前頭洞手術を行った。再手術から1年の経過では前頭洞炎の再発はなく,鼻副鼻腔CTで前頭洞は含気していた。初回手術後の再発の原因として,1)初回の緊急手術時に鼻堤蜂巣の切除が不十分であったこと,2)術後の前頭洞内の洗浄が不足していたことが考えられた。前頭洞手術に対する術後の介入については様々な方法があるが,前頭洞口の狭窄とそれに伴う前頭洞炎の再発を予防する確立された報告はない。今後の課題として,緊急対応が必要な際の術式の選択,術後治療の内容を検討することが必要であると考える。