日本農村医学会雑誌
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報告
臨床現場における外来語・略語・隠語の使用状況と看護師の認識
――用語集の作成――
桐田 久美子岡崎 寿子八代 利香宮内 信治Gerald T. Shirley
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キーワード: 外来語, 略語, 隠語, 看護師, 用語集
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2007 年 55 巻 6 号 p. 610-617

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抄録
 本研究では,臨床現場における看護師間のコミュニケーションの向上に寄与することを目的に,臨床現場における外来語・略語・隠語 (用語) の使用状況と,看護師の認識を明らかにし,困難な状況をもたらした用語を一冊の用語集として作成した。A県内の6つの病院の看護師計1,000名を対象に,独自に作成した自己記入式質問紙を用いたアンケート調査を行なった。また,特に意味が理解できず困難な状況をもたらした163の用語を抽出し,用語集にまとめた。回答者748名の97%が用語を使用するとし,理解できなった用語に遭遇した経験がある者は81.6%であった。そのうち,用語の使用により問題が発生したと回答した者は9.1%であり,「相手に伝わらなかった」,「処置が遅れた」等が理由としてあげられた。用語の必要性について「とても必要」,「必要」と回答した者は合わせて44.5%であった。理解困難な用語として回答数が多かったものは,「ステる」,「タキる」等であった。簡潔で素早く相手に伝えられる用語の使用は,看護業務を遂行する際に大きな役割を担っている一方で,医療事故の発生の危険性が内在していることが示された。また,生命に関わる重要な臨床現場で働く専門職者として,看護師一人一人が用語の正確な意味を理解し,適切に使用していくことの重要性が示唆された。
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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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