日本農村医学会雑誌
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最新号
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研究報告
  • 青栁 佳奈子, 伊藤 泰斗, 青松 棟吉, 鄭 真徳, 三宅 晃史
    2025 年74 巻4 号 p. 355-359
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     当地域は長野県東部に位置し冬期間,一酸化炭素中毒の入院が見られる。一酸化炭素中毒の発生要因を調査する目的で2016年1月1日より2022年2月28日までに当病院グループ3施設を受診した一酸化炭素中毒67例を検討した。発生原因については暖房器具が48例(71.6%)と最多であった。その中でも豆炭が関与する例が41例(85.4%)であった。
     豆炭使用時に適切な換気を行なわない場合,一酸化炭素中毒のリスクが高まる。当地域では,暖房器具として豆炭を使用する際に適切な換気が行なわれていない可能性が示唆され,一酸化炭素中毒予防のためには,豆炭使用時の換気回数を啓発する必要がある。
  • 村上 佳栄子, 草野 恵美子
    2025 年74 巻4 号 p. 360-371
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     本研究は,限界集落で健康生活を送る高齢者のストレングスを明らかにすることを目的とする。方法は,28文献から抽出した記述内容をRappによるストレングスモデルの枠組みを用いて分析した。結果は,38のサブカテゴリから14カテゴリが抽出され,それらはストレングスモデルの個人ストレングスでは「熱望」(2カテゴリ),「能力」(4),「自信」(2),環境ストレングスでは「資源」(2),「社会関係」(2),「機会」(2)に分類された。これらより,個人・環境ストレングスの要素間の相互作用を捉えるとともに限界集落で健康生活を送る高齢者のストレングスが明らかになった。今後,限界集落の高齢者がもつストレングスを可視化することは,公衆衛生看護活動においてストレングスを活かした活動及び支援に重要な評価指標となると考える。
  • ─水分測定計による指標─
    佐藤 恵, 戸井田 明日香, 鈴木 陽子
    2025 年74 巻4 号 p. 372-376
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     脱水症の身体症状に腋窩皮膚の乾燥がある。簡易皮膚水分計で腋窩水分を測定することが,看護師の脱水アセスメントの客観的指標になるかを検証するためにこの研究を行なった。対象は当院に緊急入院した65歳以上の患者86名である。身体所見として口腔内乾燥,ツルゴール反応,目のくぼみを観察し,毛細血管再充満時間と腋窩水分度を計測した。腋窩水分度の計測には市販の簡易皮膚水分計を用いた。血液検査で血清ナトリウム値,血糖値,尿素窒素,クレアチニン,推算糸球体濾過を調べ,血漿浸透圧を算出した。血漿浸透圧295mOsm/Lで脱水群と非脱水群の2群に分けた。脱水群で腋窩水分度が少なく,毛細血管再充満時間が遅延し,血液検査値でナトリウム,尿素窒素,クレアチニンが高かった。血漿浸透圧と腋窩水分度,血液検査値には整合性があった。測定精度が検証されていないという問題はあるが,簡易皮膚水分計による腋窩水分度の数値化は脱水症の看護アセスメントを客観化できる簡便な診断ツールとなりえる。
症例報告
  • 酒徳 弥生
    2025 年74 巻4 号 p. 377-383
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     一側乳房内に同時性に組織型の異なる乳癌が独立して存在する多発乳癌は稀ではないが,同一腫瘍内に異なる組織型が混在する乳癌は,発生頻度の明確な報告はないが比較的稀なものとして報告されている。今回,浸潤性乳管癌と非浸潤性小葉癌が混在した乳癌の1例を経験したため報告する。症例は81歳,女性。健診マンモグラフィで要精査となり,当院を受診。超音波検査で右A領域に10mm大の腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌の診断となった。StageⅠ乳癌の診断で,右乳房部分切除術,センチネルリンパ節生検を施行した。病理組織学的所見で,同一病変内に浸潤性乳管癌と,非浸潤性小葉癌を認め,E-cadherin染色で前者は陽性,後者は陰性を示したため,両者の混在癌と診断した。サブタイプは両部位ともER陽性,PgR陽性,HER2陰性であった。術後放射線療法を行ない,現在ホルモン療法を継続し2年経過したが,無再発生存中である。
  • ─連続8例の経験から─
    田島 祐, 仲尾 貢二
    2025 年74 巻4 号 p. 384-390
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     正常圧水頭症に対する腰椎腹腔シャント術は全身麻酔下で施行されることが多い。高齢患者の全身麻酔はリスクを伴い,当院では5年前から脊髄くも膜下麻酔下で腰椎腹腔シャント術を施行している。同麻酔の手技は腰椎穿刺の手技の延長線上にあり簡便である一方で,術中の低血圧や徐脈等に対して注意が必要である。当院の連続8症例で周術期合併症は認めなかった。脊髄くも膜下麻酔下での腰椎腹腔シャント術連続8例の経験より,同方法は特に高齢患者に対して低侵襲性において優れており,今後の有力な選択肢となり得ると考える。
  • 竹内 直子, 永田 千普, 大泉 祐樹, 秋丸 慎太郎, 稲垣 麻優, 大矢 真, 関谷 憲晃, 衣笠 梨絵, 有馬 一
    2025 年74 巻4 号 p. 391-396
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     気管チューブのカフ損傷時は気管チューブの交換が必要だが,気道確保困難症例などでは交換に危険を伴う場合がある。今回,カフ損傷をカフ圧自動調整器で管理できた症例を経験したので報告する。
     症例は70歳代男性,体外式脊椎固定器装着下頸椎症性脊髄症に対し頸椎後方除圧固定術が予定された。気管挿管は意識下に軟性気管支鏡で経鼻的に行なったところ,カフ損傷を認めた。チューブエクスチェンジャー®を用いて気管チューブを交換したものの,再度カフ損傷を認め,同様の方法で再々交換した。その直後はカフリークを認めなかったが,腹臥位とした後に換気量が徐々に低下した。カフリーク量は少なかったので,カフ圧自動調整器を接続すると換気量の低下なく,手術は完遂された。カフ損傷時にチューブ交換のリスクが高い状況ではカフ圧自動調整器を応急的に利用できる可能性がある。カフ損傷の原因は,鼻中隔の骨棘と相対的に太い気管チューブと考えられた。
  • 茂手木 壽明, 林 士元, 中村 研太, 藏本 健矢, 秋山 達也, 江辺 広志, 櫻井 啓文, 野村 明広
    2025 年74 巻4 号 p. 397-402
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     リツキシマブ投与中などの免疫不全患者におけるCoronavirus disease 2019(COVID-19)肺炎に対する治療法は現在確立されていない。今回リツキシマブ投与中にsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2(SARS-CoV-2)の持続感染を来たし救命し得なかった症例を経験したので報告する。
     症例は60代男性。顕微鏡的多発血管炎に対してリツキシマブを投与され寛解を維持していたが,COVID-19肺炎による呼吸困難で入院となった。人工呼吸管理下で,デキサメタゾン,レムデシビル,トシリズマブ,バリシチニブ,ソトロビマブを実施したが,SARSCoV-2抗原定性検査で陽性が遷延し,呼吸状態悪化により死亡した。COVID-19の治療には,抗ウイルス薬,SARS-CoV-2モノクローナル抗体(中和抗体薬),ステロイド等が使用されるが,免疫不全患者における治療につき文献的考察を加え報告する。
資料
  • 平川 仁尚
    2025 年74 巻4 号 p. 403-408
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     特定健診・特定保健指導の対象外である40歳未満の若年就労者への生活習慣病保健指導が,将来的な生活習慣病の予防や医療費の適正化にとって重要である。そこで,当センターでは,40歳未満の若年就労者向けオンライン生活習慣病予防プログラムを試作し,2020年10月から2021年3月の間に実施した。プログラムの試作に当たっては,医学中央雑誌刊行会Webを用いて,「若年」「肥満」「保健指導」「職場/職域」のキーワードで検索を行ない,ナラティブ・レビューを行なった結果を参考にした。プログラム参加者は職場,個人での参加の合計114名であった。介入は12週間で,1)開始時の対面による動機付け支援,2)4,6週目に研究チームからのメールによる励まし,3,5,7,9週間目の計4回,「ミッション」と名付けた,楽しみながらモチベーションを維持する目的とした課題への取り組み,3)介入期間中の12週間のIoT機器群を用いたセルフモニタリングとした。本プログラムにより,男性では約半数が,女性では約5分の1が1キロ以上の体重減少を示した。本プログラムのセルフモニタリング,ミッションに含まれるゲーム的要素,ピア・サポートの3つの要素がその要因であることが示唆された。
活動記録
  • ─より効果的なリハにつながった3事例─
    近藤 雅大, 中村 友美, 仲田 樹梨奈, 恩田 唯
    2025 年74 巻4 号 p. 409-414
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/24
    ジャーナル フリー
     当院では2019年から医師,看護師,理学療法士と共にICU入室患者全例にリハビリテーションカンファレンス(以下:リハCF)を実施している。当初はリハビリテーション(以下:リハ)の内容のみ検討していたが,リハを進めるにあたり医療機器管理や薬剤管理,栄養管理についても検討が必要なため,臨床工学技士(以下:CE),薬剤師,管理栄養士を含め多職種によるカンファレンス(以下:CF)を実施することとした。本報告では,ICU患者3事例の多職種CFを実施した効果について検討した。2019年7月~2023年3月にICU入室患者を対象にリハCF参加職種,リハ開始時期,その後の患者の変化からリハCFの効果を質的に調査した。リハCFは1,155件,ICU入室患者全例に実施できた。2018年まではリハの開始時期は曖昧だったが,リハCF開始後は,リハが実施できる全身状態であれば,全例翌日に実施できた。CEの参加で,人工呼吸器装着中の散歩の実現,リハ中に人工呼吸器の回路を延長することで事故抜管の予防ができた。薬剤師の参加で,睡眠薬の投与時間について検討ができ,夜間の睡眠確保,日中の覚醒に繋がり,リハに主体的に取り組めるようになった。管理栄養士が参加したことで,経腸栄養剤の種類や投与時間の変更ができ,栄養剤の逆流量が減少,呼吸リハの実施に繋がり,結果的に早期の人工呼吸器離脱に繋がった可能性がある。多職種でリハCFを実施することで,多角的に患者を捉える事ができ,安全で効果的に遅延することなくリハを実施することができた。
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