日本農村医学会雑誌
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外来化学療法における情報共有化を目指した通院治療センターカンファレンスの取り組み
田中 美和大井 敬子
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2008 年 56 巻 6 号 p. 863-867

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抄録

 佐久総合病院では,2002年より外来化学療法を行なってきたが,2006年2月,通院治療センターを新たに独立させた。薬剤師は,プロトコールに基づいた処方鑑査,薬歴管理,無菌調製を行なうとともに,曜日担当制で患者情報収集や指導を行なっている。しかし,外来では入院中に比べ,カルテからの情報収集や患者と接する時間は限られる。そこで,入院による化学療法から外来化学療法に移行した症例について,入院時に薬剤管理指導を担当した薬剤師と,外来化学療法を担当する薬剤師の患者情報共有化を目的に,症例検討会を開始した。その後,情報共有化の必要性を認識した医師,看護師も加わり,通院治療センターカンファレンスを立ち上げるに至った。カンファレンスでは,薬剤師が入院時の患者情報を提示し,多職種による話し合いを行ない,情報の共有化と問題解決の方向性を見出している。このことにより,患者の入院中の状態が把握でき,外来治療への移行がスムーズに行なえるようになった。また薬剤師としては,副作用発現時の対応などについて,より適切な指導が行なえるようになった。通院治療センターカンファレンスは,チーム医療の実践に向けて大きな一歩となったものと考える。

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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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