日本農村医学会雑誌
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在宅後期高齢者のうつ傾向に関連する研究
木村 裕美神崎 匠世
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2013 年 61 巻 6 号 p. 915-924

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抄録

 本研究は後期高齢者のうつ症状を明らかにし,身体的側面,認知的側面,およびQOLへの影響について考察することを目的とした。これらのことより高齢者への社会的サポートについて検討することとした。  対象者は佐賀県の介護老人福祉施設にてデイサービスを利用している75歳以上の後期高齢者122名であり,男性24名 (85.7歳SD5.81),女性98名 (85.34歳SD5.15) である。調査内容は,基本属性,GDS (Geriatric Depression Scale),老研式活動能力指標,Barthel index, MMSE (Mini-Mental State Examination),SF 8(健康関連QOL) について面接にて聞き取り調査を行なった。分析方法は,対象者のGDS得点をカットオフ5/4とし2群に分けて項目別にt検定で比較した。倫理的配慮:対象者には研究者が口頭と文書で研究目的・個人情報保護等を説明し同意を得た。その際,参加には任意であり,同意しなくても不利益な対応をうけないことや撤回できることを説明した。  対象者は,要介護1が48名 (39.3%),要支援2が38名 (31.1%) 特定高齢者が27名 (22.1%) などであった。GDS得点は,5点以上10点までの軽度のうつ症状があるものは61名 (50.0%) 11点以上の重度のうつ症状があるものは8名 (6.6%) であり,4点以下のうつ症状なし53名 (43.4%) であった。対象者122名中69名とうつ症状が半数を超え,GH (主観的健康感) で2群間に有意な差が認められ,永田らの先行研究と同様の結果が示唆された。

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