日本農村医学会雑誌
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研究報告
咳嗽患者におけるFeNO検査の有用性の検討
立松 愛子樋口 昌哉古市 千奈里左右田 昌彦中尾 心人村松 秀樹
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キーワード: FeNO, 咳嗽, 喘息群, 非喘息群
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2019 年 67 巻 6 号 p. 683-687

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抄録

 咳嗽は,呼吸器症状の受診契機で頻度が高く,近年は持続する咳を訴えての受診増加が指摘されている。気道の呼気中一酸化窒素(FeNO)検査は,気道の好酸球性炎症を反映し,喘息の診断や治療管理に有用と報告されている。そこで,咳嗽患者におけるFeNO検査の有用性について検討した。当院呼吸器内科を受診し,咳嗽を主訴に認めFeNO検査を施行した症例を対象とし,喘息と診断された群(以下,喘息群)199例と喘息と診断されなかった群(以下,非喘息群)156例の2群に分けて検討した。それらの中で更にアレルギー性鼻炎やアトピー素因を併発している症例(以下,交絡因子症例)喘息群17例,非喘息群18例を抽出した。交絡因子を除いた症例および交絡因子症例においても,喘息群・非喘息群間の比較検討を行なった。全体の比較ではFeNO濃度の中央値は,喘息群31ppb,非喘息群19ppbで有意差を認めた(p<0.05)。また,交絡因子症例を除いた中央値は喘息群31ppb,非喘息群18ppbで有意差を認めたが(p<0.05),交絡因子症例のみの中央値は喘息群46ppb,非喘息群23ppbで有意差は認めなかった(p=0.072)。喘息群と非喘息群を鑑別するカットオフ値は,27ppbで感度0.603,特異度0.776であった。交絡因子を持たない症例においてFeNO検査は,咳嗽患者の鑑別診断に有用な検査と思われた。

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© 2019 一般社団法人 日本農村医学会
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