日本農村医学会雑誌
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原著
在宅認知症高齢者の介護者の対人信頼感による介護負担感への影響と要因
木村 裕美西尾 美登里古賀 佳代子久木原 博子
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2020 年 69 巻 2 号 p. 111-120

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抄録

 本研究は,介護者のパーソナリティーである対人信頼感によって介護負担感におよぼす影響と要因を明らかにすることを目的とした。対象はA県にある訪問看護ステーション,通所リハビリテーションのサービスを利用している在宅認知症高齢者を介護する家族主介護者とした。方法は自記式アンケート調査を留め置きにて実施した。内容は,介護者の基本属性(年齢 性別 続き柄 同居の有無等),対人信頼性尺度,日本語版J-Zarit8(以下,J-ZBI8),Family Adaptation and Cohesion Evaluation ScalesⅢ日本語版(以下,FACESⅢ),Medical Outcome Study MOS 8-Item Short-Form Health Survey(以下,SF-8)である。在宅で生活する認知症高齢者の介護負担感を,介護者の対人信頼感尺度得点の平均点を基準に2群に分け比較した。介護負担感は対人信頼感が高い群が有意に低かった。他者との信頼関係の作りやすさや介護の困りごとの対処を家族や友達に相談できることは,介護者の対人信頼感に関連すると推測された。介護負担感の有意な要因は,対人信頼感,家族以外の協力者,家族のタイプ等が認められた。対人信頼感が介護負担感に影響することが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本農村医学会
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