2020 年 69 巻 4 号 p. 358-
本研究は,中山間地域においてどのような要因が高齢者の社会参加を規定しているかを明らかにすることを目的としている。
島根県雲南市で2018年の10月に開催された特定健康診断に参加した65歳以上の高齢者を対象に質問紙調査への協力に同意した1,057名のデータを用いた。本研究で対象とした地域活動は,自治会,ボランテイア,老人会,スポーツという地域社会における代表的な4つの活動を対象にした。それぞれの参加率は自治会が65%,ボランテイアが20%,老人会が34%,スポーツが22%であった。
本論文では,自治会,ボランテイア,老人会,スポーツという地域社会における代表的な4つの地域活動を対象に,どのような特徴を有した高齢者が活動に参加をしているかについて検証を行なった。今回の分析結果では,活動毎に有意になる説明変数が異なることが多く,唯一一貫して有意な結果を確認できたのは,「近所の人との相談人数」のみであった。また,本研究の対象地域は,中山間地域という性質上農業従事者の割合が高い地域である。自治会の活動に対するOdds比は農業従事者の場合0.6(0.45~0.8)であった。一方で,老人会の活動に対するOdds比は1.9(1.38~2.63)であった。このように,農業に従事していることが,各種活動の参加に与える影響について異なることが示唆される結果が確認された。