日本農村医学会雑誌
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研究報告
豪雪地域に暮らす高齢者の健康や生活行動と運転免許保有状況に関する実態
飯吉 令枝井上 智代駒形 三和子
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2021 年 70 巻 2 号 p. 134-145

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抄録
 豪雪地域に暮らす高齢者の運転免許保有状況別にみた健康や生活行動を明らかにするとともに,運転免許返納後の健康や生活行動を明らかにすることを目的とし,豪雪地域に暮らす70歳以上の高齢者2,000人を対象に無記名の調査票により郵送調査を行なった。回答の得られた人のうち,属性,運転免許の保有状況に欠損データのない1,101人を分析対象とした。
 運転免許保有状況別では,運転免許を持っている人は63.7%,返納した人は15.4%,持ったことがない人は20.9%であった。運転免許を持っている人は返納した人や持ったことがない人と比べて年齢が低く,老研式活動能力指標の点数,ソーシャル・キャピタルの点数等が高く,主観的健康感や生活満足度が高い人や1年以内の多くの活動に参加している人が多かった。
 運転免許を返納した人では,女性は男性に比べ年齢が低く,仕事をしている人や主観的健康感,老研式活動能力指数の点数が高い人が多かった。返納後の健康や生活の変化として,男性は「気持ちが安定した」人が女性に比べて多く,女性は「畑仕事の時間が増えた」人が男性に比べて多かった。また男女ともに「外出の機会が減った」人は6割以上であった。運転免許を持っている人は,「免許がないと不便なため,できる限り運転したい」と考えている人が約4割であった。
 豪雪地域では自動車が外出する際にはなくてはならない交通手段となっており,運転免許を返納する際は外出手段の確保の重要性が示唆された。
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© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
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