抄録
緒言:超高齢社会である日本において高齢者に対する自立支援は重要な課題であるが,在院日数の短縮化により治療が優先されることや煩雑な看護業務に追われ,高齢患者の日常生活動作に対する自立支援は置き去りにされやすい現状がある。目的:高齢患者の日常生活動作における看護師の支援動作・発話の内容とそれらを行なった理由から支援の特徴を明らかにし,強化理論を基に自立生活の維持・向上に必要な看護支援の在り方を検討する。方法:高齢患者の日常生活動作のケア場面を自然観察法により観察し,看護師の支援や発話,患者の動作を記載した。30件の観察場面を無支援,支援,全支援に分け,患者の動作の発動に影響すると思われる看護師の支援や発話を抽出後,類似性に基づき分類し支援動作の名称を付けた。結果:全支援での患者が動作を行なえない場合の支援動作は『曖昧な誘導』『急かす』で,看護師の発話は強くて速かった。動作を行なえない場合の支援動作は『従う』『一方的』で,看護師は無言が多かった。結論:全支援の場合,看護師の『曖昧な誘導』『急かす』や強くて速い声は嫌悪刺激で,発動の動機付けが消えることで患者は動作を行なえない。『従う』『一方的』は看護師の習慣化した支援動作で,患者がこのパターンを学習することで動作を行なわないことが示唆された。高齢患者の自立生活を維持・向上させるためには,快の刺激を感じてもらうような看護支援が重要である。