1969 年 18 巻 2 号 p. 63-65
秋田県山本郡浅内沼の周辺は肝吸虫症の浸淫地として知られているが, 1967年12月6小学校1, 552名の学童の検便では, 肝吸虫感染者は一名もみられなくなり, この地域において肝吸虫感染者の著しい減少があったことを示す。
これらの原因については目下検討中であるが, 浅内沼の淡水魚の摂食回数は1960年頃とほとんど変わらないにもかかわらず, 淡水魚寄生の肝吸虫metacercariaが前回の調査に比較して約1/10に減少していることを考えると, 直接には肝吸虫metacercariaの寄生数の減少による感染の機会の低下が考えられよう。