日本農村医学会雑誌
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病院外来におけるいわゆる神経痛・リウマチ及び腰痛症の統計的観察
榊原 昭男
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1956 年 4 巻 2-3 号 p. 26-30

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抄録

(1) 昭和26年4月より, 昭和28年3月にわたる2ヶ年間の石橋病院外科外来におけるいわゆる神経痛, リウマチ及び腰痛症等の受診率は, 他の主要疾患に比較しても極めて多い疾患に属し, しかも年令的には20才代~60才代の労働年令及び高令者がその大部分を占め, 職業別では重労働者特に農民に多発する傾向がみられるので, この問題は産業医学的見地からも重視されねばならない。
(2) 疾患別では男子は神経痛が, 女子はリウマチが首位を占め腰痛症は男女共最も少数である。
(3) 罹患部位は神経痛は坐骨神経, 上腕神経がリウマチは上, 下肢関節罹患がその大部分を占め特に女子の上腕神経痛, 上肢関節リウマチが男子より多い傾向を示すことは, 生活あるいは作業様式等の性差と関係あるのではないかと考えられ, 興味あることである。
(4) これら疾患のため, 受診する患者は男女共一般に春から梅雨にかけて極めて多く, 夏は少く, また晩秋から冬季にかけて増加の傾向がある。
(5) これら疾患は重労働者, 特に農民に好発し, しかも受診時月別にみて, 冬季の他は農業労働の主作業期に一致して多い点等から考え, これら疾患誘因についての気候要素は第二義的なものであり, その主因は農民の生活あるいは作業様式等の中に存するのではないかと思考される。

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