日本農村医学会雑誌
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心筋梗塞の運動療法
回復期監視型運動療法の効果
藤原 秀臣高橋 淳全 栄和徳永 毅雨宮 浩家坂 義人
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1993 年 42 巻 2 号 p. 55-60

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抄録

心筋梗塞のリハビリテーションは入院期間中に行われる急性期リハビリテーション, 退院から社会復帰までの期間に行われる回復期リハビリテーション, 社会復帰後に行われる維持期リハビリテーションに大別されている。急性期リハビリテーションは, 殆どの施設において短期間で完結され効果を挙げているが, 回復期リハビリテーション, とくに監視型運動療法は充分普及していないのが現状である。そこで心筋梗塞患者の回復期に監視型運動療法を実施し, 社会復帰への効果, 運動耐容能の変化, 心血行動態の推移などを評価し, その意義と有用性について検討した。対象は, 1990年11月より1992年5月までに当院CCUに入院した急性心筋梗塞患者68例中, 回復期運動療法適応者25例である。運動処方は運動負荷における最大心拍数の70~80%に相当する運動強度とし, 自転車エルゴメーターによる週3回の運動を8~12週間施行した。心拍数, 血圧, 心電図をモニターし, 運動耐容能, 心エコー法による心拍出量などを測定した。その結果, 運動療法により,(1) 運動耐容能が増加し,(2) 同一運動量に対する心拍数, 血圧, 二重積の低下がみられ,(3) 運動時一回拍出係数の増大がみられた。以上より, 本法は心筋梗塞患者に安全に施行でき, 身体, 心機能の改善および社会復帰にとって有用であると考えられた。

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