日本農村医学会雑誌
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農耕地土壌中のプロシミドン残留
永美 大志
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1993 年 42 巻 2 号 p. 81-85

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抄録

農薬の土壌残留は, 環境中の主たる残留形態であるとともに, そこで育成された作物に汚染をもたらしてきた。今回筆者は, 殺菌剤プロシミドン (商品名スミレックス) が使用され, 約1年経過した農耕地の土壌残留調査を行ったところ, 0.05~0.14μg/g-dryの残留を認めた。三年間の継続調査の結果, 調査した農耕地におけるプロシミドンの土壌中の第二半減期は約1.5年であると推定された。さらに, この農耕地において栽培された作物への移行を調査したところ, イチゴから検出されなかったものの, 野菜の可食部で0.005~0.017μg/g-raw程度の移行を認めた。これらの結果から, プロシミドンが残留性の高い有機塩素系農薬の範疇に入りうることが示唆された。現在もプロシミドンが使用されていること, 食品残留も多数報告されていることも鑑み, 広汎な残留調査と徹底した毒性の究明が必要と思われる。

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